国民年金は免除可能?交渉に必要な条件


老後の安定した生活のための柱である国民年金は、条件を満たしていれば納付する必要がありますが、様々な事情により納付が難しいことがあります。そんなときに覚えておきたいのが、条件を満たすことで全額または半額の納付が免除となり、一定額の支給が保障される猶予制度です。国民年金の免除には、どのような要件が必要なのでしょうか。その条件を見てみましょう。

国民年金の目的と概要

そもそも国民年金は、日本国憲法第25条第2項「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」の理念に基づいて設定されている仕組みです。対象となるのは全ての国民であり、加齢や障害、死亡による所得の喪失・減少で生活の安定が損なわれることを共通の仕組みを整備することで、健全な国民生活の維持・向上することを目的としています。国民年金はこの目的を達成するために整備された制度であり、加齢や障害、死亡に関して必要な給付をおこなうことを前提としています。
国民年金事業は政府の所管であり、厚生労働省(厚生労働大臣)が直接の責任者です。実際の業務は国民年金機構がおこなっています。国民年金機構の前身は厚生労働省の下部組織であった社会保険庁でした。
しかし政治家の年金未納問題や国民年金不正免除問題、年金記録問題(消えた年金問題)などの不祥事が相次いで発覚したことから現在の国民年金機構に改組された経緯があります。

国民年金の免除要件:学生納付特例制度

日本国内に住む人は、成人時点で国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられています。しかし学生については、申請をすることで在学中の保険料の納付を猶予する「学生納付特例制度」が設けられています。

学生猶予特例制度の対象となる条件としては、

    • 本年度の所得基準(申請者本人のみ)が118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除などが一定額を下回り
    • 大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、専修学校及び各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する方で 夜間・定時制課程や通信課程

が該当します。
つまり、20歳以上で公認されている何らかの学校の学生であれば、基本的に猶予対象となります。

学生猶予特例はあくまで「猶予」であり「免除」ではありません。そのため、卒業後に就職するなどして安定した収入が発生すれば、追納する必要があります。猶予制度の承認を受けた期間の翌年度から起算して一定期間を過ぎてから追納するときには、承認を受けた時点での保険料に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。

国民年金の免除要件:保険料免除・納付猶予制度

20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人や、第2号被保険者や第3号被保険者でない者は「第1号被保険者」として扱われ、国民年金の保険料を収める必要があります。しかし所得が少ないなど様々な理由により保険料を収めるのが難しければ、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の対象となります。保険料納付猶予制度は、20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下のときに申請・承認されると保険料の納付が猶予される仕組みです。これに対して保険料免除制度は、経済的な理由で国民年金保険料を納めることが難しいときに申請・承認されることで保険料の納付を免除する仕組みです。

申請内容によって免除される額はことなり、

  • 全額
  • 4分の3
  • 半額
  • 4分の1

のいずれかとして扱われます。

保険料免除・納付猶予制度を利用するメリットとして、免除期間も国民年金を納めていたことになるため、本来の受け取り金額のうち、国庫負担分である2分の1を受け取ることができることと、免除期間中に何らかの理由で障害や死亡といった不慮の事態が発生すると、障害年金や遺族年金を受け取ることができます。

おわりに

納付率が70%を割り込み、納付率向上が重要な課題となっています。しかし未納扱いとなっている人の中には、免除制度の存在を知らない人がかなりの割合でいると言われています。これまでに未納した期間がある人は、免除・猶予制度の対象とならないかを確認してみると良いかもしれません。